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世界がかかえる食糧問題、日本がかかえる食糧問題

2008/07/05 23:21|食糧問題TB:0CM:0



 「危機」という状況にはいろいろな段階があるので、「これが食糧危機だ」ということは一概には言えません。また地球規模(世界規模)での食糧危機と日本における食糧危機は、多少連動してくるところもありますが、性質がちがうものですので、別のものとして考える必要があります。

 このことを踏まえた上で、まず、食糧危機とは何なのか?どういう要因で食糧危機がおこるのか?ということ、そして、どのような危機管理、危機対応が必要なのか、この2つのテーマを大きな柱として話を進めていきたいと思います。

 

 ■地球規模での食糧問題の現状

 

 21世紀の食糧問題については、断片的ながらも人々の意識をあおるような報道が増えており、それらの報道では、21世紀の第1四半期(2010~20年代)に何らかの形で食糧供給に支障を来たすということが想定されています。

 食糧不足の要因には、人口の増加、食生活の高度化、農業生産性の低下、そして異常気象などの現象があげられるが、それぞれの要因について簡単に説明を加えていきます。

 

 1995 年に57億人だった人口は、2010年には69億人、2025年には80億人と増加していき、そのほとんどが開発途上国での増加です。過去の歴史を見てみると、人口が増加すると、疫病や飢餓の大量発生などの要因が働いて、人口抑制の方向へコントロールが働いてきました。ところが、このコントロールのたががゆるんだのは、第二次大戦後です。乳幼児の死亡率の低下、医療技術の進歩による高齢化などが進んで、人口増加が急激に進みました。

 最近では、子供の養育費、都市環境の悪化などの事情もあり、先進国での人口増加率は2%を切りましたが、途上国では、しばらく人口の増加は続くと予測されています。

 

〈食生活の高度化〉

 



この表は、1人あたり肉類消費量の推移を表した表です。先進国全体では、肉類の消費量は減少方向にありますが、問題は、ブラジル、中国、そのほかの開発途上国での肉類の消費量です。欧米諸国とは消費量に差があるものの、急ピッチで増加していて、このペースで増えていくと、穀物の需要量も大幅に増加し、最低3%の農業増産が必要になってきます。

 人間が穀物のまま、食べるのであれば、生産量イコール消費量になりますが、家畜を通した場合、牛の場合8~10倍、ぶた5倍、にわとり2~3倍の穀物を消費するのです。食生活の高度化が、作物の生産量を圧迫しているのです。

 

 〈農業増産率の低下〉

 農業増産率は、1960年~80年代までは、約2.3%であり、人口増をほぼ満たす形で、パラレルに推移していましたが、80年代の半ばからは、右下がりのグラフになっています。農地面積をそれ以上増やせなくなったこと、1人あたりの農地面積が減少したことなどが原因です。

 これまで農地だった土壌が劣化してきて、砂漠化や土壌の劣化(塩害、地下水位の低下、表土風食)などが進み、世界では1年間に500~600万ヘクタール(日本の農地面積とほぼ同じ)もの農地が砂漠化しています。一方では森林を破壊して大規模な農地が作られていますが、土壌の劣化は深刻になってきているので、近い将来に飛躍的に農地が増加する可能性は低いと考えられます。

 しかしもっと深刻なのが、水資源の問題です。農産物の価格は工業製品にくらべると、割にあわないのです。同じ1トンの水を使うのにも、農業用水として使うよりも工業用水として用いるほうが、ずっと生産性が高い。競合がおこった場合、ほとんどの場合、農業が競争に負けてしまうのです。

 

〈異常気象〉

 しかも地球温暖化による異常気象の影響で必要なところに雨がふらず、沿岸部や島嶼部に豪雨が降るような現象がおこっています。このような水問題が端的にあらわれているのが、中国です。黄河の水が干上がっている一方で、長江の沿岸部では大洪水がおこっている。人口の大半を占め、かつ人口増加が著しい、広域でのアジアにおける食生活の変化、農業生産の需給バランスが大きくくずれることが懸念されているのです。

 

〈アメリカは食糧危機を歓迎?〉

 しかしアメリカには、食糧危機をよしとするような風潮も見られます。なぜか。アメリカは自国の食糧さえ供給できれば、あとはマーケットで値をつりあげて売ればいいのです。つまり食糧の供給量が減って価格があがれば、もうかるのです。

 FAOでは備蓄率が18%を切ると危ないとしていますが、そのすれすれのところで食糧備蓄が行われているのが現状です。

 

〈化学の力も通用しないようになってきた〉

 農業技術の貢献、化学肥料や農薬を使うことによって単収(単位面積あたりの収穫量)を増やしてきたわけですが、単収の伸びが先進国では止まってしまいました。他の産業に比べて経済的にもペイしない、ということで農業生産は現在、1つの壁にぶつかっている状態です。

 「化学の力を持ってすればなんとかなるだろう」という考え方がありますが、実情はどうでしょうか。例えば「クローン技術」に消費者は満足しているでしょうか? クローン技術は非常に不安定なものです。このように、安全性や生態系ということを考えると、科学技術にも1つの大きな壁があるようです。

 日本でも昭和50年ごろから、単収を増やすよりもおいしいお米をつくる方が、経済的にペイするようになってきました。またこれまで化学肥料や農薬の使用によって単収を増やしてきた長野や宮崎、北海道などの主要な野菜の産地からは、単収が増えなくなり、しかも連作障害がでてきている、という報告が増えています。

 こうして、土壌劣化農業生産のありかたそのものに対して疑問が投げかけられるようになりました。

 このような、あるいはさらに深刻な事態が、世界の各地でおこっているのです。

 1、農地はこれ以上増やせない

 2、水資源が確保できない

 3、土地の面積も増やせない

 4、単収も上がらない

 以上のような農地の事情に、異常気象による凶作がつづき、市場が混乱するというシナリオが想定されているのが、地球規模の食糧問題を中長期的に見た流れです。

 

■日本の食糧問題

 

〈マーケットの原理と外交問題〉

 日本の食糧問題を考える場合には、地球規模の食糧問題とはかなり異なったとらえ方をしなくてはなりません。日本の食糧自給率が低いことは周知のことですが、マーケットの原理から言えば、所得水準の高い日本が、海外から食糧を買い集めることは、よっぽどのことがない限り可能なのです。

 しかし外交問題は、そう単純なものではありません。4年前にローマで開催された「世界食糧サミット」では、今後10年以内に、8億人もの世界の飢餓人口を半分に減らそうという提言が採決されましたが、実際はその数は減るどころかどんどん増えており、FAOはこの計画をギブアップした、という現状があります。

 難民問題は世界のあちこちで常態化していて、解決が非常に難しい状態になっています。経済的援助をしているではないか、という意見もありますが、難民援助というのも、一時的なものでしかなく、根本的な解決にはなりません(ただ食糧を援助するのではなくて、そこに住む人々がつくって彼等が自立することが必要)

 ただでさえ「お金を出せばいい」という日本の姿勢は、国際的な非難を浴びているところに、世界中に飢餓が蔓延するなかで、お金の力にまかせて世界各地から食糧を集めることは、政治的にも人道的にもできないのです。

 

〈穀物自給率26%なのに減反政策〉

 よほどのことがない限り、経済大国である日本が食糧危機に襲われるという可能性はまずないのですが、日本の食糧事情を単一で見たとき、状況はお寒いものです。穀物自給率は26%にすぎないにもかかわらず、いまだに減反政策を進めています。また、農村の過疎化による人的資源の減少も、今後より深刻な問題になってくるでしょう。

 

〈食材を世界一ムダにしている〉

 日本は、食材を世界一ムダにしている国です。食糧の生産→加工→消費の過程のなかで、廃棄される割合が世界一高いのではないかと言われています。まだ食べられる食糧が少なくとも2~3割が廃棄されていると言われています。

 コンビニ弁当などがいい例です。経済のゆがみのなかで、最も付加価値の高い食糧が捨てられ、重油を使って廃棄されるという構図があります。 江戸時代まで続いていたリサイクルの循環が崩れてしまった。

 

〈日本に想定される「不測の事態」〉

 

1、輸出国の港湾荷役スト・局地戦争・国際紛争などによる、輸送上の途絶が発生する場合(短期的なリスク)

 (備蓄率の少ない日本は、すぐに食糧危機に陥る)

2、主要輸出国の同時不作による供給削減あるいは輸入減少(短期・中期的なリスク)

  アメリカ・ロシア・中国がもし同時に不作になると世界の食糧は一気にパンクします。その確率は小さいとはいえゼロではありません。ただし外貨を保有し購買力さえあれば、相当程度の輸入は可能ですから、極端な食料パニックは避けられるでしょうが。

3、主要輸出国との外交関係の悪化、政策的・外交的輸入制限を受ける場合(短期・中期的リスク)

  日本の外交が賢ければ、アメリカなどから外交を通じていじめられることもないでしょうが、いじめを受ければ日本の食卓は絶望的(cf:第二次世界大戦)

4、世界の人口と食糧生産との長期的不均衡の顕在化によって、食料供給の制約を受ける場合(構造的・長期的リスク)

  中長期的に充分起こりうるリスクですが、事前に予知することが可能であり、農地保全や増産計画などの対応策を講じれば、対処可能なリスクです。

 

〈想定せざるを得ない2つの新たなリスク〉

1、原発事故によるリスク

 東アジアの朝鮮半島と上海から北の地域は日本の北陸を含め、世界でもっとも高密に原発の分布している地域です。仮に、チェルノブイリ級の事故がこの地域で発生した場合、まず飲料水がダメになり、日本の食糧は壊滅的な状況に陥ります。

 これに対する危機管理体制はありません。中国やヨーロッパ諸国のように地下方式の備蓄がきちんとなされていれば、それなりの対応ができるでしょう。しかし、日本の今日の農業生産の形態、流通の状況・形態では、まず対応が無理でしょう。確率が低いとはいえ、ありうるリスクです。対応策を考えておかなければいけません。

 

2、難民発生のリスク

 人口13億人の中国や、朝鮮半島に何らかの事情で難民が発生した場合、彼らはまっ先に日本にやってきます。防衛庁が予測している難民の規模は 200~500万人です。こうした規模の難民が日本にたどり着いた場合、追い返せるでしょうか? 無視して食糧を提供しないでいられるでしょうか。あり得ません。しかし日本にはまったくと言っていいほど食糧の備蓄はないのです。コンビニやスーパーが抱える在庫はわずか1日分ですし、米も2カ月分ぐらいしか備蓄をしていません。

 

 

■必要とされる危機対策---2つの備蓄

 

1、現物の備蓄

 1つは、米穀・現物の備蓄です。備蓄と言うと高品質の貯蔵庫を連想してしまいますが、できるだけ低コストでの備蓄をということで、低温度備蓄を研究しています。60~70%の湿度で0~5度の冷温帯に貯蔵すれば、ほとんど品質が落ちず、新米同様の品質を保持できるということがいくつかの研究成果から明らかになっています。10度を超え、15度ぐらいで保存すると、かなり品質は悪化してしまいます。

 そこで北海道や、山形県舟形町、新潟県などで、雪氷のエネルギーを使う研究がされています。雪を掘って氷室をつくれば、比較的簡単に冷熱備蓄ができるのです。玄米で保存するのが理想的です。

 これだけ食糧の自給率が低い国なのだから、ふつうなら備蓄をするはずですが、日本人は、「何かがおこったらあきらめる」という傾向があります。アンケートなどを実施しても、アメリカやヨーロッパでは、何かがおこる可能性があれば、それに対して「心構える」「準備する」という傾向が出るのですが・・・

 阪神淡路大震災では、水や食糧など最低のライフラインをきちっと供給できる体制が必要だということを身をもって体験したはずです。

 

2、農地・生産力の確保

 もう1つの備蓄は、生産資材・生産手段の備蓄です。水田・畑などの農地や人材をきちんと確保しておくということです。40年前には600万町歩必要だと言われていた農地が、今では500万町歩を切っています。しかも耕作放棄地という形で減っているのです。しかしこのような状態がよくないということはわかっています。

 さらに、遺伝子組み換えやバイオテクノロジーへの不安という新しい問題がでてきたなかで、安全な食品を求める声も高まりつつあります。

 そのようななかで、危機を回避する対策として、低コストで農地が管理でき、貯蔵可能、しかも環境に調和したシステムづくり、ということをそろそろ考えなければならない時期が来ているのではないでしょうか。

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日本の食料自給率40%

2008/07/05 23:05|食糧問題TB:0CM:0
食料自給率が低いということは、国民の生存に欠かせない食料の多くを海外に頼ることを意味します。いま日本は、1億2600万国民のうち7600万人分の食料が外国まかせという状態です。こんな国は世界に例がありません。

 21世紀は人口増加や地球環境の悪化などで世界の食料が不足すると懸念されています。また食料・農産物の生産は天候に左右されるうえ、どの国も国内供給を第一にするため貿易に回る割合が小さく、国際相場は乱高下を繰り返しています。こうしたもとで食料の半分以上を外国に頼ることは、国民への食料供給の不安要因を大きくし、生存基盤を揺るがすものとならざるをえません。農産物の価格が安いことは消費者の利益の一つではありますが、外国産がいつまでも安い価格で安定して手に入る保障がないことも見ておく必要があります。

 加えて、輸入依存は食の安全をも損なわせます。輸出国での大規模生産や長距離輸送が大量の農薬や添加物の使用を余儀なくさせ、貿易を担う多国籍企業が利潤追求を第一として人間の健康を後回しにしているからです。BSE(牛海綿状脳症)、輸入野菜への農薬残留、遺伝子組み換え食品の横行など、一連の事態も食の海外依存と結びついて起こったものがほとんどです。さらに、当面安いからと食料の輸入を野放しにすることは国内農業の崩壊を促進することにもなります。それは、環境や国土を荒廃させ、国民の生活基盤を著しく悪化させ、長期的には消費者の利益を大きく損なうものといわざるをえません。政府の調査でも、わが国の将来の食料供給に消費者の9割が「大きな不安」を感じ、同じく9割が「自給率を大幅に引き上げるべき」と答えています。こうした大多数の消費者の願いにこたえることこそ大事だと考えています。

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日本の将来を考えるとあまりにも先の読めない不安を抱かざるをえません。
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そのためにはまずいろいろな側面から将来を予想しどう対処するのが良いのか?を考えていきましょう!

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